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since 2002.10.14

第12章 大会に向けて

12-01. 選曲と楽譜の配布

 

 コンクールに向けてまずしなければいけないのが、コンクール曲の選曲です。課題曲は楽譜が学校に届き次第、初見でもいいのでまず全部の課題曲を軽く合奏 してみて、自分のバンドに合った曲を選びます。自由曲は色々な資料などを参考にしながら決定します。課題曲・自由曲とも、選曲はコンクールの命ですので、選曲作業は念入りに行いたいものです。

 

 楽譜を部員に配布する時期というのも難しい問題です。遅く配ったら夏までに間に合わないし、かといって早く配り過ぎても部員が曲に飽きてしまう危険もあ ります。スクールバンドでは、4月以降は新入生勧誘と新入生指導で練習ができる時間が少なくなりますので、3月までに課題曲・自由曲ともせめて譜読みを完 了させておきたいものです。特に1年生を多数コンクールに出さなければならないバンドは、1年生の育成というのも非常に大事となりますので、早い時期に曲 の練習をやっておいて、1年生が入ったらしっかり指導を行う必要があります。

 

 また、春~夏にかけて定演を行うバンドは、それを見越して計画的にコンクール曲を練習していく必要もあるでしょう。これらのことを考え、各団体の状況に応じて最適な時期にコンクール曲の楽譜を配布し、練習を始めましょう。

 


12-02. 一人一人の意識の高め方

 

 コンクールに向けての練習では、何か月も同じ曲を練習しなければいけないので、ともすると部員のモチベーションが下がりがちです。特に、楽譜がある程度 読めて演奏が何とか形になってくると、部員たちが「自分達もなかなかうまい演奏ができてるな」と勘違いし、練習への意欲が低下する危険があります。

 

 バンド指導者は、部員にこのような慢心を持たせないようにする必要があります。まず何といっても大事なのは、指導者自身が自分達の演奏に満足してはいけないということです。特に合奏中に「ここはこんなもんでいいや」などと妥協するような発言はしないようにしましょう。常に指導者自身が「もっとこういう風に演奏したい」という演奏に対する欲求を持ち続け、それを部員に伝えていくことが大事です。

 

 また、指導者が「こうしたい」と言ってばかりで、肝心の部員の方のやる気が無いのも問題です。部員自身が練習に積極的に取り組むようにさせるために、何 か手段を講じる必要があります。例えば、部活のミーティングで、一人一人にコンクールに向けての目標を述べさせて、練習の意義を再確認させるなどという方 法があります。部員自身が、受身ではなく積極的に練習に取り組むようになると、演奏の方もどんどん積極的な良い演奏となっていきます。こうした精神面への働きかけもぜひ行いましょう。

 


12-03. コンクール前の練習

 

 夏休みに入り、連日一日練習が続くような時は、部員のやる気を持続させる練習計画を立てる必要があります。例えば「今日の午後はずっとパート練習」とい う練習にした場合、たいていは途中でだれてしまいます(生徒だけのパート練習ならなおさら)。なので、「合奏」や「パート練習」、「セクション練習」を織 りまぜながら、練習に適度に変化を持たせるとよいでしょう。また「今日は課題曲の【C】~【F】をとにかく完璧にしよう」などと一日にやる範囲を決めて、その範囲のパート練習・セクション練習・合奏を行い、できたら「明日は【F】~【I】まで」…と曲を区切って練習していくのもいいでしょう。練習が続いて部員に疲れが出始めた時は、時には半日休みや一日休みを入れた方が効果的です。

 

 また、コンクール前に外部の講師の先生を呼ぶのはとても効果があります。自分達でやっていたのでは気付かない指摘をどんどん出してくれるので、練習も最終段階に入った夏休みあたりには、積極的に講師の先生を呼びたいものです。ここでいう講師の先生とは、「吹奏楽の指導」を してくれる人を指します。もちろん、オケの先生を呼んでもいいのですが、なにしろ吹奏楽指導というのはオケとはかなり異なる特殊なものですので、できれば 「吹奏楽の指導法」を熟知している人の方がよいでしょう。そうした講師の先生に人脈が無い場合、近隣の団体に聞いてみましょう。

 


12-04. 練習環境 

 

 夏は暑いです。暑い中練習をしていると、生徒の体力が消耗しますし、第一チューニングが全然合わなくなってしまいます。暑い中での練習は百害あって一理 なしです(暑い中、変なチューニングで練習すると、耳までおかしくなってきてしまいます)。なのでコンクール前の練習は、できればエアコンの効いた部屋で 行いたいものです(涼しい気候の地域は除く)。学校なら、コンピュータ室や会議室、図書室などには冷房が入っていることが多いので、使用許可を得てどんどん利用するべきです。

 


12-05. コンクール前の本番

 

 コンクール曲をコンクール当日に初めて人前で演奏するのは好ましくありません。できればコンクール前に、どこかの本番でコンクール曲を何回か演奏してお くと、部員も本番慣れができて良いです。コンクール前に、市町村の吹連がコンクールリハーサルのための演奏会を実施している所があったりもしますが、そうした機会が無い場合は、保護者を呼んで事前に演奏を聞いてもらったりと、本番の場を設定する必要があります。

 


12-06. ホール練習

 

 コンクール会場になっているホールで練習して、会場の雰囲気や音響をつかんでおく「ホール練習」というものがあります。実力のあるバンドの多くは、毎年ホール練習を行っているので、本番に余裕を持って臨めます。特に、残響の長短や高音の響きやすさなど音響はホールによって全然違うので、ホール練習をしておくとかなり有利です(特に打楽器と管楽器のバランスを見られるのが大きい)。ホール練習に講師の先生を呼んで客席で聞いてもらったりするとさらに効果倍増です。

 ただし、ホール練習はかなりお金がかかる上、ホールはかなり前から予約しておかないとすぐいっぱいになってしまいます。しかし効果は絶大。ぜひチャレンジしてみては。

 なおホール練習ができない場合は、少なくともそのホールの音響の特性を調べておいて、合奏でバランスの調整をしておきましょう。

 


12-07.当日リハ室ですること

 

 コンクール当日は、短いリハーサルの時間をどう使うかがポイントとなります。事前にリハ室でやることを分単位で詳細に決めておく必要があります(リハーサルの時間は進行の都合で短くなることもあるので、1~2分余裕をもたせて計画を立てましょう)。

 

【リハ室の計画の例】
◆リハーサル室A(9分)
 2分間音だし→4分間各自チューニング(曲の中で大事な音を事前に決めておいて計る)→2分間基礎合奏(ロングトーン、リップスラー、アンブッシュアの練習)
◆リハーサル室B(7分)
 1分間音だし→5分間曲の合わせ(最初と最後)→呼吸の練習

このようにリハ室ですることの計画を立てたら、実際に時間を計り「リハ室のリハーサル→ソデ待機のリハーサル→本番のリハーサル」をしておきましょう。