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since 2002.10.14

楽譜のおさほう

 音楽団体が自前で楽譜を作成する際に必要となる情報をまとめました。まだ箇条書きのラフ段階ですがとりあえず掲載します。

 いくら編曲が良くても、楽譜次第で奏者のパフォーマンスが上がりも下がりもしてしまいます。編曲が終わって気を抜くのではなく、あと少し頑張ってみましょう!

1.はじめに

・楽譜の目的:奏者に必要な情報を的確に伝える(誤解が無いように、演奏しやすいように)
・編曲者がその楽団にいるのであれば楽譜上で細かく指示しなくても口頭でできるが、編曲者が卒業して後輩が演奏することになったり、別の楽団に楽譜が渡ったりした場合に編曲者の意図と異なる演奏をされてしまう危険性がある。テンポ、ダイナミクス、ニュアンス等おせっかいなほどに細かく楽譜上に指示を出すことが必要。
・音楽ジャンルにより異なる記譜法がある。さらに同ジャンル内でも若干揺れはある。
・楽譜制作ソフトであれば最低限のルールは守ってくれる(例:線上音符の付点位置は右上)が、手動でひと手間加えるとさらに使いやすい譜面に。
・ソフトにより実装されている機能が異なる(あっても使いやすいかどうかも含め)

2.曲名、作曲者名等、パート名の表記
・左側にパート名(パート譜の場合のみ)、中央に曲名、右側に作編曲者名を書くなど。
・パート名は正式名称で。略称を用いるのはスコアにおける2段目以降。
・編曲ものの場合、情報(&礼儀)として原作者名を明記する。
・楽譜はどこに渡るか分からず、責任所在をはっきりさせるため編曲者名も明記する。
・楽団用編曲などバージョンが複数出ることが想定される楽譜は、日付等を明記する。

3.五線周り
・五線のサイズは、パート譜(およびパート譜として用いるスコア)は小さすぎないようにする。
・ダブルバー:転調時(拍子のみ変更時はシングルバー)、曲調が変わる時(リハーサルマークの部分は全部ダブルバーにしなければならないという訳ではない、あまり多いと重要度が薄れる)、D.C./D.S.など。
・リハーサルマーク:8小節ごとなどと曲を区切り練習しやすくする。曲の頭には何もつけない。[A][B]…とアルファベット、[9][16]…と小節番号、[1][2]…と通し番号でつける方法がある。各文字は大きめにし、さらに四角で囲み目立たせる。
・ダイナミクスの位置:基本は五線の下
・速度・発想記号の位置:拍子記号の左端にそろえる
・省略記法:%のような記号を用いる(手書きならば記譜の手間を省く意味もあるが、それ以外にも例えば難しいパッセージで前小節と同じ動きだよと安心させ奏者の負担感を低減するなど)
・パート譜における休符の省略

4.その他いろいろ

(1)同楽器をまとめる
・同楽器は五線のグループ化(小節線の貫通)でまとまりをよくする。また段間の空白を開けることでもグループを表現できる。
・同楽器の中でのパート間隔:通常は一定間隔だがツメなければならない場合、音域に留意する(例:アルトリコーダーは上の加線がつくことが多いので広めに取る)

 

(2)スコアでの全てのパートに書くもの、上段パートにのみ書くもの
・全て:アーティキュレーション、ダイナミクス
・上段のみ:速度(M.M.指定/rit.など)、発想記号、小節番号
※スコアをパート譜代わりとする場合は上段のみならず全てに書かれる場合あり(rit.など)

(3)1段に2パート書く場合
・div.で分ける:動きが同じ場合は和音として書く、動きが異なる場合は音符の棒の向きを上もしくは下にして表現。
・a2(ア・ドゥエ)で両パートとも同じ音を演奏する

(4)調号と臨時記号
・打楽器パートには調号を書かない
・臨時記号の効力はその小節内のみだが、親切で次の小節に本位記号(本来の音に戻す意味での記号)をつけることが多い(その際、通常の臨時記号にする場合と、カッコ付の臨時記号にする場合がある)

(5)段の改行、改ページ
・フレーズの最初の小節を「段の先頭小節にする」=段の改行をすると読みやすくなることがある。
・パート譜であれば見開き2ページで収まるのが望ましいが、3ページ以上となる場合は譜めくりを考えた小節配置とする(数小節連続した休みの部分を2ページ目最終小節に持ってくるなど。なお曲の都合により、1ページ目の最後に譜めくりをし、2・3ページを見開きとする場合もあり)

 

段の先頭小節にする:区切りがいい所で(フレーズ始まりが最後の1小節だけだとなんだかなあ)
五線間の間隔:使用音域により
音符のはたが上下パートで衝突時の処理
グループ化する際の五線間をまとめる記号
3拍伸ばすか4拍伸ばすかは全然違う:編曲の際に要考慮

5.リコーダーにおける記譜法

(1)パート譜を用いるか
・パート譜を用いることもあるが、スコアの方がよい場合も。
・スペースの都合、他パートの動きの把握等の理由で、合唱等と同様にスコアを使用する場合が多い。
・2つの譜面台に4ページのスコア(場合によりそれ以上=巻物のようにつなげる)を載せ、2人がその楽譜を共用し見るということがよく行われる。

(2)移調楽器扱いとするか等
・出版譜の状況:S.以上は実音オク下、A.T.は実音、B.以下は実音オク下でヘ音表記。
・A.をF管として書いた楽譜、低音をト音で書いた楽譜も存在するが、今のところマイナー。

6.参考
楽譜の記譜ルール
譜面の実例もあり簡潔で分かりやすい

実戦的 楽譜の書き方講座
ジャズ寄りだがポピュラー音楽一般で通用する