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since 2002.10.14

4.その他コラム

裏方仕事を進めていく上で

 

  • 特定の人に負担が集中してしまう場合

 この場合は「その人にしかできないこと」「別の人でも出来ること」を区別し、後者を別の人に振ることが必要です。「別の人に仕事を教えるのが面倒」とその人だけが仕事を続けてしまうことがありますが、それでは負担は減りようがありませんし、また別の人がその仕事を通じて成長する機会を奪ってしまうことにもなります。

  • 締切や集合時間は早めに設定しておく

 プログラム原稿の執筆といった依頼事項の締切や、練習や本番の集合時間については、余裕を持って設定しておきます。本来であればこれらは厳守されるのが望ましいですが、個々人のアクシデントにより遅れてしまうこともあります。締切や集合時間は早めに設定して、それを過ぎたら状況を確認する、という形を取ります。 

  • 名指しは効果大

 もし提出物の締切が遅れた人がいた場合、MLで一斉に「遅れた人は出してください」と送るだけでは効果は薄いものとなります。そうではなく、手間はかかりますが個別に「○○さんへ 提出が遅れているので出してください」と名指しでメールをすると効果大です。

  • 想像力を大切に

 仕事をしていく上では、言われたことをただやるのではなく、仕事について常に「想像」して適切な対応を取ることが必要です。
 例えば、施設担当が事務室に行くと「来週月曜日は臨時の施設点検のため部室は使用不可」と書かれた紙を渡され、部室に掲示するよう言われました。ここでこの担当は事務員に言われるまま掲示をするだけでは全く不十分です。即座に団体責任者等に連絡を取り、施設が使用不可となることを伝え、代替施設が必要かどうか指示を仰ぎます。また紙を部室に掲示するだけでなく、MLで一報を入れることも考えられます。このように、部室使用不可がもたらす影響を想像し、責任者への報告・相談、所属員への連絡という素早い対応が不可欠です。

 

書類の作成時に

 

  • 余白や行間を調整する

 1行だけ2ページ目にはみ出たような場合、ページ設定で余白や行間を調整しうまく1ページにおさめることができます。特に余白はデフォルトだと大きめに設定されていることが多く、また行間は表計算ソフトだと逆に狭く設定されていて見づらいことがあるので、適宜調整します。

  • フォントサイズを小さくし2段組にする

 文章が多い場合、フォントサイズを小さくし2段組にするとかなり用紙が節約できます。

  • 表計算ソフト:印刷時はプレビューで確認

 余計な行・列が印刷されてしまう場合があるため、プレビューで確認をします。なお「印刷範囲の設定」で印刷したい部分だけ印刷することもできます。

  • 表計算ソフト:覚えるべきこと

 計算式を扱う場合、計算式の書き方・相対参照・絶対参照・形式を選択して貼り付け等を覚えておく必要があります。

  • 後で書く目印「■」

 書類作成時にその場では分からない部分が出てきた場合、例えば「昨年の■月総会の議案が…」のように目印をつけておくと後で思い出し書くことができます。この■のように「後で何かしよう」と思い出させる「リマインダー」は上手く使えば便利です。

 書類を作る際はとりあえず思いついたことだけどんどん書いていって全体を見通し、後で詳細な情報を加えていく方法は時に有効です。

 

団体運営における諸問題

 音楽団体の運営にあたっては、その団体の性格により様々な問題が発生し得ます。問題がない団体は少ないはずで、悩みながらも解決に向け努力します。例えば同種の他団体に相談してみるのは、同じ悩みを抱えている場合もあるのでいい方法となります。

  1. 人数が多く練習場所や本番の機会が不足
     所属員数が多いことは喜ばしい反面、問題も生じます。練習場所が確保できないという問題に対しては、既存施 設の利用時間の延長、公民館等の外部施設の活用ができないか検討することになり、場合により学生組織や学校側、各種施設との折衝が必要です。また人数が多 すぎて舞台に乗り切れなかったり、バンドやアンサンブルで枠が足りなくなったりする問題に対しては、乗り降りの調整、バンド単位で新しいライブを企画する 等の検討が必要です。
  2. 人数が多く楽器や備品が足りない
    「2-03.会計実務~予決算~」で述べたように会計面でサポートできないか検討します。
  3. 人数が多く個々人の意見の反映が難しい
     人数が多くなると全体の会議ではなかなか自分の意見が言えず、数人の幹部だけが団体を動かしているように 捉えられ一般所属員の不満が出てくる場合があります。この場合、例えばパート・バンド単位の少人数ミーティングを開きそこで個々人と十分に意見交換を行 い、それを各リーダーが持ち寄り運営に反映させていくという方法を取ることができます。
  4. 人数が少なく演奏や運営が困難
     この場合は「2-06.所属員の勧誘をする」で述べたような対応をします。
  5. 一部の人に運営負荷がかかってしまっている
     まずは運営に必要な仕事を洗い出し、原状誰が行っているかを整理し、それを皆で分担できないか話し合います。
  6. 演奏会やライブが多すぎて負担になっている
     演奏レベルの維持や運営負荷の低減のため、適正な本番回数を設定する必要があります。
  7. 指導者がおらず年により演奏レベルが上下する
     特に学生団体において、顧問教員や外部講師が日常的に演奏指導を行うのではなく、その代の学生指揮 者・学生トレーナーが演奏指導を行う場合は年によりレベルが上下します。もちろん所属員自らが運営・練習方針を決められるので良い体制ではありますが、演 奏レベルが保てるようにする必要があります。例えば練習を録音し課題点を見つけたり、本番前に団体内発表会を行いお互い指摘し合ったりします。なお外部講 師やOB等の力を借りることもできますが、あくまで現役が目指す方向性から外れないようにお願いをします。
  8. 年により運営レベルが上下する
     会計・PA・録音・Webなど特殊技能が必要とされる分野については、市販の役立つ書籍やサイト等が無いか探したり、自前のマニュアルを作ったりして引継ぎを行います。

 

モチベーションの維持

 運営側は演奏以外にも様々な仕事をしなければならず、モチベーションの維持は重要な問題です。1人で黙々と仕事をしているとなかなかモチベーションを維持できない場合があるため、例えば会議を設けてお互いの状況を把握すると同時に、会議以外でも仕事の状況がどうなっているかを個別に話してみるようにします。
「うまく行ってる?」「どんな状況?」ということを、たとえ自分がよく分からない担当分野の人に対しても話してみると、状況や悩みも聞けるかもしれません。
 またそうして話をしていくうちに、お互い忘れていた仕事を思い出すこともあります。自分一人で考えてるだけでは意外と忘れてることも多いはずです。
「仕事仲間を作る」ことはモチベーション維持に欠かせません。仕事のことだけでなく何でも相談し合えるような仲になると、非常に助けになることがあります。大変だけど楽しく頑張っていこうという雰囲気を作ることが必要です。

忙しくて頭が混乱してきたら
 忙しすぎてもう何から手を付けたらいいか分からず混乱してしまった場合、自分が今どんな仕事を抱えているか(タスク)を紙やPCに書き出してみます。頭の中でぐるぐる考えているだけでは余計に混乱するので、自分の状況を落ち着いて把握できるように目で見て検討できる状態にします。
 多くの場合、楽団の運営メンバーは二足以上のわらじを履いています。例えば「学業/仕事/バイト」「恋愛/家庭生活」「演奏する側」「運営する側」など四足のわらじを履く人も珍しくありませんが、それらで今やらなければならない事を全部書き出してみます。
 そして次に「期限が決まっているもの」「人に迷惑をかけそうなもの」等で優先順位をつけていって、それを今度は手帳に落とし込んでいきます(○日のこの時間はこの仕事をやる等)。もちろん手帳に書いたスケジュール通りできるとは限らず、後回しになってしまう仕事も出てくるかもしれませんが、その場合は「○日にやる」と再度設定をしていくことになります。なお、あまりにタスクが多すぎてとてもやりきれないという場合は、他の人に相談して仕事を一部お願いする等の対応が必要になります。

学生団体における技能伝承
 学生団体は毎年人が入れ替わるため、裏方の技能伝承というのは大きな問題です。様々な仕事においてレベルが低下しないよう心がける必要があります。
 例えば1~3年生で構成されている団体であれば、1年生はまず各係に配属させ仕事をとりあえずやってみてもらいます(指示があれば仕事ができるレベル)。次に2年生になったら各係の責任者という立場を与え、係の仕事を中心となって行ってもらいます(実務をしつつメンバーに指示をするレベル)。そして3年生になったら何人かは実務を離れ、仕事がうまくいっているかを客観的に確認し、何か問題があれば助け、技能伝承をしていくという体制にします(仕事を管理するレベル)。
 このように団体の事情に合わせ、技能伝承が確実に行える仕組み作りが必要です。

普段の言動から所属員の信頼を得る
「明日は朝8時に集合してください」「司会原稿を○日までに執筆してください」等、裏方は所属員に色々なお願いをすることがあります。
 また演奏会においては、観客は団体の内部事情など分からず演奏会で表現されたものだけで良し悪しを判断します。そのため観客に悪い印象を与えかねない事態が想定された場合、裏方は例え団体内が険悪なムードになろうとも、時には所属員に厳しいことも言わなければなりません。
 以上のような際、所属員が「あの人の言うことだから協力しよう」と裏方である自分に対して思ってくれるよう、裏方は普段の言動により所属員の信頼を得ておくことが必要です。
 例えば「時間は必ず守る」「トラブルが起こりそうなら事前に報連相する」「メールの文面は偉そうにせず相手を気遣う」「忙しい所属員のため、各種締切は余裕を持って設定する」「仕事が遅れている人がいたら、その人自身を責めるのではなく、仕事の振り方・分担に問題は無かったかという観点でむしろ裏方側自身が反省し対応する」などです。裏方は基本的に謙虚であるべきだと私は思います。

 

マイナスをゼロにする~演奏会編~
 演奏会は「素晴らしいアドリブソロを披露する」「あっと驚く演出で観客に笑いを起こさせる」というように、様々なプラス要素により大いに盛り上がるものとなります。
 しかし裏方は一方で「マイナスをゼロにする」、すなわち「演奏会を成立させるため、当たり前に行われるべき事項を当たり前に実行されるようにする」という視点を持つ必要があります。例えば「開場時間になっても寒い中外で待たされた」「司会のマイクの調子が悪く聴こえなかった」「プログラム冊子の中でお世話になった講師の先生の名前が間違っていた」といったような「演奏自体は良かったけれどアレは無いよねぇ」と観客に思わせることがあると、せっかく盛り上がるはずの演奏会に水を差すことにもなりかねません。
 所属員一人ひとりが持っている「当たり前」の感覚はそれぞれ異なるため、「わざわざ言わなくてもこれくらいの事は当たり前にやってくれるはず」という考えは禁物です。演奏会に必要となる事項をおせっかいなほどに細かく書き出して話し合い、その中で互いが持つ「当たり前」の感覚をすり合わせていく。もし「当たり前」が実行されない事態が予想できたら、事前に策を講じる。こうした事で、演奏会から「マイナス」の面を出来る限り排除し、所属員が「プラス」に持って行くことを可能にさせる「環境を整備すること」、それこそが裏方の役割なのです。